2019-10-18

    依頼をする側にとって、どうしても探偵というのはオープンになっていない職業のため、どういうことができる存在なのかということが、やはりわかっていない部分があります。

     

    依頼人の中には、ドラマや小説などに出てくる探偵が行っていることはしてもいいことだと思っていたり、探偵には試験がないということを知っている人は、探偵が行っていること(本人の想像の中の探偵がという意味)は自分もしてもいいことだと思っていたりします。

     

    けれど、探偵には探偵業の届出と言うものを出さなければ、正式な探偵にはなれないという決まりがあったり、探偵が行うことは許されていても一般の人が行うと犯罪扱いになってしまったり、探偵でも行ってはいけないこともあります。

     

    依頼人が探偵の真似をして罪を犯してしまうことや、犯罪行為をしている探偵と知らない間に手を組んで共犯になってしまうことを避けるために、しっかり境界線を知っておくことが必要です。

     

    まず、依頼人が探偵の真似をして罪を犯してしまう場合を見てみましょう。

     

    あまり知られていないことですが、探偵という職業につくのに試験はありませんが、探偵業の届出を出すことで「ある権利」を得ることができます。

     

    それは、「調査をする権利」です。

     

    探偵がよく行っているイメージがあるのは尾行ですよね。対象者の後をつけて、その人がどこで何をしているのかを調べ、依頼人に報告します。

    この行為は探偵業の届出を出しているからこそできることです。出していない一般の人や、にせの探偵が行うと罪に問われます。

     

    ただし、同じ家に住んでいる夫が妻を、妻が夫を尾行することは犯罪にはなりません。妻が夫の浮気を怪しんで友人に尾行を頼んでしまうと、その友人がストーカー行為をしているとみなされてしまう可能性があるので、気を付けてください。

     

    では、探偵でも行うと罪になってしまう場合について見ていきましょう。

     

    対象者の仕事が終わってから自宅に着くまでを調べてほしいと依頼人に言われました。対象者は、とあるビルの5階にある1室の会社に勤めています。ビルの出口が複数個所あるため、探偵はビルの中に入り5階にある、対象者が勤める会社の部屋の近くで張り込んでいました。

     

    一見すると、ただ尾行をしようとしているだけだと思ってしまうかもしれませんが、これは刑法犯にあたる行為です。

     

    探偵がビルの外で張り込みをしていたのであれば問題はありませんが、ビルの中で張り込みをしていると建造物侵入罪に問われてしまいます。理由は、ビルのオーナーが張り込みをするために探偵が入るということを許していないからです。

     

    この他にも、マンションやアパート、お寺でも同様のことが言えます。もし、明らかに建物の中に入り込んで撮影したとわかるような写真を探偵が見せてきたら、「これって建造物侵入罪に問われるんじゃないですか?」と聞きましょう。その写真を、例えば浮気現場の証拠として出そうとしていた場合は、同じことを相手の弁護士に突っ込まれてしまい、依頼人も共犯とみなされて罪に問われてしまう可能性もあります。

     

    次に、誰かの敷地内に入った時に起こりうることとして、その敷地の持ち主から「帰ってください」と言われたにもかかわらず、そこにい続けた場合には不退去罪と言うものにも当てはまってしまいます。

     

    ただこれは、当事者同士ではないとわからないことなので、依頼人側が写真を見ただけでは判断できない箇所です。

     

    さきほどの建造物侵入罪に当たるような写真が出てきた場合には、こちらも同時に疑ったほうがいいでしょう。

     

    この他にも、探偵が犯しがちな犯罪として、器物損壊罪や暴行罪があります。例えば、対象者を尾行している時に、対象者が突然方向を変えたのでついていこうとして近くにいた人の持ち物を壊したり、近くにあった物を壊してしまったりすることがあります。これはりっぱな器物損壊罪に問われます。

     

    また暴行罪は、相手に怪我を負わせなかったとしても、少しでも押してしまったら暴行罪になってしまいます。また、誰かと揉み合っているところを写真に収めると、もみ合っていた人たち全員が暴行罪です。そして、もみ合った結果、誰かが怪我をすれば傷害罪へと変わります。

     

    ただ、これも依頼人側からは分からないことなので、防ぎようがないのかもしれません。ですが、相手から訴えられれば、探偵でも刑法犯として罰せられます。

     

    また探偵でも、民事上の損害賠償請求をされてしまう場合もあります。

     

    例えば、物的損害、精神的慰謝料、肖像権侵害、名誉棄損、プライバシー侵害などです。また名誉棄損で訴えられたとしても、探偵側が調べた内容が本当のことであれば、名誉棄損にはなりません。探偵側が嘘の報告書を作った場合には当てはまってしまうことなので、依頼人側も報告書の内容が本当のことなのかをしっかり見極めてから行動に移すようにしましょう。

     

    探偵に依頼をすると、調査終了時に報告書が渡されます。報告書には、証拠となる写真がたくさん貼られているのですが、その写真にも注意が必要です。

     

    今回、刑法犯や民事上の問題などをお伝えしてきましたが、証拠写真がどこで撮られたのかだけではなく、対象者がどこにいる時に撮られているのかにも注意しましょう。対象者が庭にいたり、ショッピングセンターにいたり、公道を歩いている時に撮られたものであれば、何も問題はありません。ですが、対象者が自分もしくは誰かの家の中にいるところを撮った写真は刑法犯に引っかかります。お風呂場にいる人を写真に撮るのと同じ行為とみなされるためです。

     

    浮気調査を依頼しているのであれば、愛人の部屋の中にいるところの写真というのは、依頼人としては証拠としてほしいところではありますが、それは探偵が犯した罪として問われる証拠になってしまうため、浮気の証拠としての能力を発揮できません。

     

    もし、そういった写真を見せてくる探偵がいたら、他にも探偵業法内では収まりきらないほどの法に触れた行動を取っている可能性があるので、依頼自体をキャンセルしましょう。

     

    ただ依頼をしただけなのに、共犯者になってしまうこともあるので、法律についても少しだけ頭に入れておくといいかもしれません。

     

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