2025-06-17
第312回:《探偵》探偵に依頼をしたらどんな人でも捜してくれるのか
探偵の仕事といえば、不倫調査、素行調査などが一番思いつくものかもしれません。
ただ、人探しも探偵に相談をすれば探してくれるという印象を持っている人もいるのではないでしょうか?
実際、探偵事務所のHPには、人探しの依頼も受けると書かれていることがあります。
「人探し」といわれると、誰を探すイメージがあるでしょうか?
「初恋の人探し」や「恩師を探す」と答える方が多いかもしれません。特に事件性などがない場合、年齢を重ねてから、ふと初恋の人に会ってみたい、昔の恩師に会ってみたいと思う心理は、不自然なことではないからです。
ただ中には、失踪した親を探してほしい、子どもを探してほしい、恋人を探してほしい、というような相談をしてくる場合があります。
依頼人の目の前から対象者がいなくなったということは、何か事件に巻き込まれている可能性もあるため、簡単には引き受けられない場合もあります。さらに、対象者があえて依頼人から逃げている場合もあります。
色々な可能性があるので、人探しの依頼自体を初めから受けていない探偵事務所もあります。
ただ、表題にあるように、「探偵に依頼をしたらどんな人でも捜してくれるのか」については、人探しを引き受けている探偵事務所であれば、引き受けることがほとんどです。とはいえ、どうして探しているのかについては、詳しく話を聞いています。
依頼人から話を聞くことで、対象者がいつからいなくなり、どの辺りにいるのかの見当をつけるためでもありますし、依頼人に問題があるのかを見極めるためでもあります。
依頼人を見極める必要があるのは、依頼人が例えばストーカーの場合やDVの加害者である場合もあるからです。
そういった人たちも、
「妻が突然いなくなってしまい、事件に巻き込まれているかもしれないから不安なんです。警察は大人の失踪にはそれほど積極的に動いてくれませんし……どうか、妻を探してくれませんか?」
という場合もあれば、
「実は私がとても駄目な人間でして……妻の言うことを聞かずにギャンブル三昧をしていて逃げられました。ですが今はもう改心したんです! 今の自分の姿を妻に見てほしい。だからどうか、妻の居場所を探してくれませんか?」
という場合もあります。もちろん、ストーカーの場合も同じです。
対象者が事件に巻き込まれていない限り、依頼人から対象者は逃げているということが前提にあります。もちろん対象者が、認知症であったり、小学生未満の子どもだったりすれば、迷子になって帰って来れないだけという可能性もありますが、そうでない場合は自分の意志で姿を消しているということです。
それなのに、探してほしいと依頼をしてくるということは、対象者の友人や近しい人に話を聞いても居場所を教えてもらえなかった、もしくは友人や近しい人の存在を知らなかったということでもあります。
対象者は、本当にそんな依頼人に探されたいと思っているでしょうか?
全員が探されたいとは思っていないというわけではありませんが、高い確率で探されたくないと思っている人の方が多いでしょう。そのため、ストーカーやDVではなかったとしても、対象者の方には依頼人が会いたがっていることを直接伝え、会いたいかどうかを聞いています。その時に対象者が「会いたくない」と言えば、探偵は依頼人に対して「対象者を見つけましたが、対象者は依頼人に会いたくないと言っているため、居場所をお伝えすることができません」という風にお伝えしています。
つまり、人探しはするものの、その相手に本当に会えるかは、対象者次第ということです。もちろん、依頼人から手紙を預かり、それを対象者に渡すということは出来ます。ただ、本当に対象者に渡しているかどうかの確認を依頼人側は出来ないので、信用をしてもらうしかないというのが現状です。
こういった背景があるため、探偵事務所では人探しの依頼を受けるものの、依頼人側が探偵事務所に人探しの依頼をしてよかったというような口コミが少ないのかもしれません。
みなさんがイメージをする人探しの依頼で多いのが、初恋の相手を探偵に探してもらったというのも、初恋の相手であれば実際に会っている可能性もありますし、初恋の相手が会わないと言ったとしても、依頼人に対してマイナスの感情を抱いているわけではないので、手紙を書いて依頼人に渡してほしいと伝えてくれる場合もあるからでしょう。
この場合だと、依頼人側も探偵に依頼をしてよかったと思いますし、後ろ暗い内容でもないため、人に話したり、ネット上に書いたりすることもあるので、それを読んだり、聞いたりした人たちが、探偵は「初恋の人も探してくれるんだ」というふうに、何となく知っている状態になっているのではないかと思います。
通常の探偵事務所への依頼は、誰にも言えない悩みを相談していることがほとんどですが、初恋の人探しや恩師を探してほしいという依頼は、思い出探しの手伝いを探偵にしてもらっているだけなのでポジティブな印象しかないというのも、噂として広まりやすい要因になっているのかもしれません。
ただ、思い出探しといえば聞こえはいいのですが、探偵に人探しの仕事を依頼した場合、安い金額ではないので、思い出に対してその金額が見合うのかどうか、という問題は残ります。もちろん、見積もりを探偵事務所に出してもらうのは無料なので、実際にどれぐらいの金額になるのかが知りたい人は、探偵事務所に見積もりを出してもらうといいでしょう。
しかし、思い出の人と再び付き合いたいというような下心があるわけでもない場合は、中々その金額を出そうと思うのは、よほど裕福な方か、余命僅かな人に限られてしまうのかもしれません。
表題に戻りましょう。
探偵に依頼をしたらどんな人でも捜してくれるのかについては、探偵によってはどんな人でも捜すものの、実際に依頼人と対象者が会えるかどうかは、対象者の同意が必要だということは覚えておきましょう。
依頼料は安いものではありませんが、それでも探してほしい人がいるのなら、ぜひ探偵に調査の相談をしてみて下さい。きっとご自身では見つけられなかった相手を、探してくれるはずです。