2022-02-22

    探偵という存在が身近に感じるからか、それとも職業として浮世離れしているように感じるからなのか、ときおり「にわか探偵」がいることがあります。

     

    にわか探偵というのは、探偵事務所を立ち上げたばかりの探偵のことではなく、素人探偵のことです。

     

    刑事ドラマを見すぎて、刑事のまねごとをしたくなるのと同じで、探偵ドラマを見すぎて、探偵のまねごとをしたくなるというパターン。しかも、刑事の場合だと、警察手帳を必要としますし、偽物だとバレた時には捕まってしまう可能性もあります。ですが、探偵の場合は、探偵手帳という公式なものはありませんし、探偵は資格が必要なものではないため、探偵事務所を立ち上げていなくても、「私は探偵です」と言ったからといって、罪に問われるわけでもありません。

     

    もちろん、探偵事務所を立ち上げたのであれば、公安に届出が必要になりますし、個人事業主、会社の事業主としての届出も必要となりますが、そこまで厳しく取り締まっているわけではないため、届出がなくても「探偵です」と言ったところで、本物偽物の判断ができないというのが現状なのです。

     

    では、誰もが「私は探偵です」と言ったとしても問題がないのであれば、何をしてもいいのかと言えば違います。

     

    にわか探偵、素人探偵が危ないのは、調査方法です。彼らは、テレビや映画、小説などを呼んで、これぐらいなら自分でもできると思っています。もしくは、困っている人が身近にいて、探偵のまねごとをすればできるのではと思いテレビや映画小説を読んで勉強したつもりになっている場合もあります。

     

    ですが、テレビや映画、小説はフィクションです。ノンフィクションではありません。物語を書いている人は、自分がこれまで読んだり見たりしてきた探偵像を想像して書いています。作家の中には、探偵事務所に足を運び、現実の探偵はどういうことをするのかという取材をしている人もいますが、だからと言ってすべてが正しいことではありません。取材をして話を聞いても、それをそのまま物語にするにはつまらないと感じれば変更します。

     

    フィクションは作りものですので、実際と違ったとしても何の問題もないからです。作家は何も悪くはありません。フィクションの物語を観て、読んで、これが現実の探偵なんだと思い込んでいる人の方に問題があります。

     

    「探偵」と言えば、人の秘密を暴くのが仕事という面が強くあります。これも、フィクションの物語の中でよくあることなのですが、親友の夫が浮気をしていると知り、親友のために自分がにわか探偵になって調査をするというもの。これは、現実でも案外あるものです。

     

    夫の浮気のことを話せるだけ信用ができる親友がいることは、その人にとって幸せなことですし、浮気をされているかもしれないと相談を受けた方も、それだけ信用されているということですので、二人の人間関係でいえば素晴らしいことです。普通であれば、夫が浮気をしているかもしれないと思っても、誰にも相談ができず、困り果ててから探偵事務所に相談に来るからです。

     

    ですが、相談相手がいる場合に発生しうる「にわか探偵」「素人探偵」は厄介です。

    彼らは親切心で行動をするため、自分が悪いことをしているという思いは全くありません。その上で、例えば浮気の証拠を見つけてやろうと躍起になります。

     

    例えば、尾行。

    調査の基本として、探偵は尾行を行います。ですが、尾行は1日や2日でマスターできるものではありませんし、1人で行うことも少ないものです。

     

    ですが、そんなことはフィクションの物語には書かれていません。最近は一部で書いているものもあるかもしれませんが、私はそういった類のものを読んだことがありません。

     

    「探偵」を名乗ると、誰もがすぐに「尾行」ができるようになるのであれば、それこそ「探偵」は必要なくなるでしょう。ですが、職業として「探偵」が成り立っているということは、そこにプロと素人との明確な差があるということです。

     

    尾行をするのに、どんな技術が必要だと思いますか?

     

    もしこの質問に100点満点で答えられる素人の方がいれば、その人は潜在的に能力値が高い人だと思うので、にわかではなく探偵事務所の看板を出して、今すぐ始めてもいいかもしれません。もちろん、口頭で言えたからといって、その技術が自信に身についているかどうかは別の話なのですが。

     

    ですが、これに答えられないという人がほとんどです。もし回答をしたとしても、尾行をしている相手に見つからないようにすればいいだけだと答えたのであれば、危険が伴います。

     

    探偵は、「どこまで尾行をしていいのか」をわきまえていますし、「どうすれば対象者にバレないのか」も知っています。そしてそういった技術は、他にも細かく言うとたくさんあり、そのほとんどは、先輩の探偵を見て学んでいきます。

     

    探偵の「尾行術」は、ある意味職人技ですので、すぐに身につくものでもないということです。

     

    尾行術が身についていない人が行うとどうなるかというと、法を犯してしまうこともあれば、対象者にバレてしまうこともあります。どちらも最悪の結果です。

     

    尾行は法を犯さず、対象者にバレないというのが鉄則です。これはどちらの場合も、尾行をお願いした人にも迷惑がかかる行為になります。調査をする前は親友だったとしても、調査後には親友ではなくなっている可能背もあるのです。

     

    また、尾行が対象者にバレた場合、浮気の調査であれば、浮気の証拠を探し出す難易度が上がります。もしくは、「そんなに自分のことが信じられないのか」と言って、証拠が見つかる前に、離婚されてしまう可能性も。相談者が望んでいた未来とは違う結果になってしまう可能性もあるため、できればやめた方がいいでしょう。

     

    にわか探偵は、悩んでいる人のために善意で行っていると、本人も思っていることが多いのですが、本当にそうなのかをもう一度考えてみてほしいところです。周りにいない「探偵」役を自分がしていることに、酔ってはいないでしょうか?

     

    悩んでいる人を本当に助けたいと思うなら、自分で調査をするのではなく、本物の探偵事務所に連絡をして、相談者と一緒に相談をしに来てください。それが相談者の為になることだと思います。

     

    東京都調査業協会

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