2026-03-10

    探偵事務所のホームページを見ていると、「○○調査承ります」と書かれている横で、「○○工作承ります」と書かれている場合があります。

     

    ○○調査とは例えば浮気調査や行方調査などです。企業ではなく、一般の人に向けた探偵事務所であれば、必ず○○調査の文字は書かれているでしょう。

     

    それに対して○○工作とは、別れさせ工作や恋愛工作などです。「○○工作」は一部の探偵事務所でしか行われていません。ただ、当協会では「○○工作」をしている探偵事務所の加入はNGとしています。それはなぜだと思いますか?

     

    探偵は調査をするのが仕事で、工作をするのは探偵の仕事ではないとしているからです。

     

    では、調査と工作では何が違うのでしょうか?

     

    探偵が行う調査は、犯罪にならないように細心の注意を払いながら行っています。探偵業法に則った方法しか使っていないため、探偵にしかわからないラインがあります。つまり、正規の探偵事務所であれば、犯罪に関わるような調査はしないということです。

     

    それに対して「○○工作」はどうでしょうか?

     

    調査と工作とで大きく違う点があります。それは調査を依頼する人は被害者側であるということに対して、工作を依頼する人は加害者側になりえるという点です。

     

    例えば、不倫調査の依頼人がいたとします。探偵が依頼人の配偶者の不倫の証拠をつかみ、依頼人は配偶者と不倫相手に慰謝料を請求しました。配偶者と不倫相手からすると、依頼人は加害者でしょうか?

     

    逆恨みをするという場合はあるかもしれませんが、社会的に問題のある行動をとっていたのは配偶者と不倫相手ですので、依頼人が慰謝料を請求するのは正当な権利です。それによって、配偶者と不倫相手がお金に困ることになったとしても、同情してくれる人は誰もいないでしょう。

     

    それに対して別れさせ工作の場合。依頼人が「とある夫婦」の別れさせ工作を依頼したとします。別れさせ工作の場合は、調査をするのではなく、工作員が対象者である「とある夫婦」に実際に接触します。

     

    依頼人が女性で、とある夫婦の夫側と自分が付き合いたいので離婚させてほしいという依頼であれば、工作員はとある夫婦の妻側に接触をし、色恋工作で不倫をします。さらにそれを夫側にバレるように工作し、とある夫婦は依頼人の目論見通り離婚。妻に近づいていた工作員は、依頼人からの依頼で動いていただけですので、離婚が成立した後は、目の前から消えます。

     

    依頼人が女性だけではなく、とある夫婦の夫と一緒に依頼してくる場合もあるでしょう。その場合は、依頼人である夫は、妻が不倫をしたと言って慰謝料も請求します。

     

    この場合でも、不倫をしたのは妻側なので、妻だけが加害者だといえるでしょうか? 妻が工作員と食事やデートをしただけの場合もあれば、実際にホテルに行く場合もあります。

     

    ですが工作員は意図を持って妻に近づいているため、客観的に見ると妻は被害者です。そして加害者は、依頼人側になります。依頼人がどんなに綺麗ごとを並べたとしても、加害者は依頼人です。

     

    そしてこの工作行為については、犯罪である可能性が非常に高く、工作員が法に触れる行動をとっていた場合、犯罪者になるのは工作員だけでしょうか?

     

    違います。お金を払った側も犯罪者です。つまり、依頼人も犯罪者になるということです。ですので、違法である工作行為を依頼するということは、自分も犯罪者になるということを理解しておく必要があります。

     

    「○○調査」は、調査員である探偵が素人ではない限り、何をすれば犯罪になるのかを知っているので、犯罪になることはしません。そのため、探偵に「○○調査」を依頼しても、依頼人も犯罪者ではありません。

     

    ですが、「○○工作」は工作員が行っており、工作員は何が犯罪になるのかを知った上で法を犯しています。法を犯したとしても、依頼人が望んでいることだから、お金を貰ったから工作をしている、という人もいるのですが、かなり黒よりのグレーな事務所といえるでしょう。

     

    工作員を抱えている事務所では、「もちろん犯罪にならない程度に行っていますよ」とは受け答えしますが、法を一度も犯したことのない工作員が本当に存在するのかは、疑わしいものです。

     

    そういったこともあり、「○○工作」を謳っている探偵事務所は、当協会には加入できないということです。

     

    本来の探偵の性分というのは、困っている人を助けることです。人に言いづらい悩みを抱えている人たちを助けたい、そういう気持ちのある人が探偵になっています。探偵は犯罪者組織ではありません。だからこそ、探偵事務所の看板を抱える時には、公安に届出をしているともいえます。

     

    調査員に調査の依頼をしたことが周りにバレたとしても、その問題が解決した後であれば、依頼人が世間から叩かれることはありません。しかし工作員に工作の依頼をしたことが周りにバレた時は、その問題が解決した後であっても非難の目を集めます。また、非難の目だけではなく、場合によっては犯罪者として捕まる危険もあるでしょう。

     

    調査と工作では、ここまで意味が違ってくるということです。

     

    悩み事があれば気軽に探偵に調査の依頼をするのはいいのですが、自分の思い通りにしたいからといって工作を依頼する時には、その秘密を一生抱えていかなければいけませんし、バレたら世間の信用を失ったり、最悪逮捕されてしまうという可能性も考えたりする必要があります。

     

    また探偵業の世界で働いていない人には、どこからが犯罪で、どこからが犯罪ではないのかの境界線を知らない人がほとんどです。ですので、「○○工作」の話を聞いた時に、その時の相談員の人が「うちは犯罪はしませんから、安心ですよ」と言っても、信用しないことが大事です。

     

    犯罪者になりたくない、一生の秘密を抱えたくないのであれば、どんなに魅力的な「○○工作」であっても、手を出さないことをお勧めします。

     

    安全に、合法的に依頼をしたいという場合は、「○○調査」の範囲内で出来ることはないのかどうかを、探偵に相談するのもいいでしょう。もしかしたら、「○○調査」の範囲内で出来ることがあるかもしれません。ぜひ相談するだけでもしてみてくださいね。

     

    東京都調査業協会

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