東京都調査業協会

探偵コラム

第66回:《探偵》どうしてこんなに高いの?探偵への調査費用を値切ればいいというものではない

浮気調査や信用調査など、緊急を要していない依頼を頼もうと思ったとき、現在のインターネット社会に慣れている依頼人は、事前にネット上で探偵とはどういうものなのかを調べています。

確かに、何も調べずにいきなり飛び込んでいく猛者は、今の時代少ないでしょう。もしいたとしたら、おそらく探偵に調査を依頼する前に自分で調査をしてしまうタイプの方かもしれません。

ネットで「探偵 費用」と検索すると、探偵料金の相場や内訳などが出てきます。それをみて、こんなからくりがあるんだと知ったり、水増ししている探偵も多いんだなと知ったりします。

ですが、ネット上で書かれていることは、いわゆる悪徳探偵の場合はこうだということで、正しい料金設定をしている探偵も多くいるということは書かれていません。

ネット社会の特性というのもありますが、探偵という業種の特性でもあります。

悪い探偵に引っかかった場合、自分のことが公(公と言いつつ匿名ですが)になったとしても、「こんなひどいことがあった!」とツラツラと書きます。

ですが、いい探偵にあった場合は、調査をしてくれた探偵に対してはお礼を言ったり、感謝の言葉を手紙にしたりしますが、ネット上で「こんなに親切な探偵がいたよ!」とは書いたりしません。

探偵に依頼をする内容が、基本的には他の人には知られたくないことだからです。 だから特に、探偵に関する正しい情報が口コミとしては、ネット上に出て来ず、探偵社や興信所が書いている内容だけが、コラムやブログという形でみれるだけ、ということに繋がっています。

では、依頼人の間違った知識の中で、案外多いことがあります。 調査費用を抑えるために、調査員をつける人数を減らしてほしいということです。

個人の探偵事務所に依頼をしようと、一般の方が電話をすると、出てくるのは営業ではなく所長本人ということも多々あります。

大手であれば、オペレーター、相談員、調査員ときちんと分かれているので、各部署のスペシャリストになっているのですが、個人の探偵事務所であれば、全てを数人(場合によっては1人)で行っています。

どの工程も得意な探偵もいますが、そうではない探偵もいます。

一般企業での仕事を思い出してみてほしいのですが、会社の受付、オペレーター、営業、企画戦略、開発、経理、総務など様々な業務内容がありますが、通常はどれか1つしかしていませんよね。

ですが、個人事業主や小規模な会社になると、どれかを兼務していたり、全部を1人でしていたり、することがあります。それは、全てを行うのが得意だから、ではなく、そうしなければいけない状況だからにすぎません。 (もちろん中には、全てを行うのが得意だから独立したという人もいます)

探偵も一般の会社と同じで、全てを1人で行うのが得意な人もいれば、そうではないけれど1人で行っている人もいます。そのため、人によっては依頼人が値下げ交渉をすると、探偵側が本当にそれでいいなら…といって、値段を下げた状態で依頼を受けることもあります。

ただここで問題なのが、依頼人は調査に対しての知識がネット上に落ちているものしか知らないということです。

例えば、通常浮気調査の尾行であれば、調査員は2、3人つくのが普通です。ですが、調査の事を知らない依頼人からすると、2人も3人も必要ないから、1人にして人件費を抑え、調査費用を下げてほしいという方もいらっしゃいます。

ですが、探偵社が調査員2、3人にするには意味があります。同じ人が長時間つけていればバレやすいから、ということもありますが、それだけではありません。

例えば、対象者が勤め先から出てきたところから尾行を始める際、その建物の出入り口が1つしかない、ということはめったにありません。大抵は2ヵ所ありますし、大きなビルや公共施設となれば、もっとたくさん出入り口があります。

1人しかいない場合、1つの出入り口でしか対象者が出てくるのを待つことができないので、調査が失敗する可能性が非常に高くなるというわけです。

また尾行は徒歩だけで行われていると勘違いをされている依頼人もいますが、調査員は様々な乗り物を使って調査をすることもあります。調査員の数が多ければ、そういったことへの対応も可能になるので、調査が成功する確率があがります。

さらに、調査時間を減らすことができないのか、ということを言ってくる依頼人もいます。確かに調査時間が少なければ、調査費用は押えられますが、調査員が尾行をしている間に、決定的な証拠をつかめるかどうかという確率は少なくなります。

例えば浮気調査ですが、依頼人からすればホテルに入る所だけの写真があればいいので、その時間帯だけ調査をしてほしいという方もいます。ですが、それが可能なのは、対象者がいつも同じ時間帯に同じホテルを利用している場合だけです。

通常は対象者が会社を出たところから尾行が始まります。対象者が勤めている会社であれば、ほとんどの依頼人が知っているためです。平均的な調査時間は3~6時間。

調査員は勤め先から出てきた対象者が、どこへ行くのかを尾行します。依頼人が怪しいと思っている日に尾行をしているので、本当に浮気をし

始めは食事、そのあとはホテルの場合もあれば、浮気相手の家に向かう場合もあるでしょう。

前者の場合は決定的な写真を撮ることができるので、裁判を起こす場合にも有利になるのですが、浮気相手の家に入った場合は、どれだけの一緒にいたのかの時間も重要です。

探偵によっては、対象者が浮気相手の家に入った時点で、依頼人に調査時間がこれだけ長くなる可能性もあるけど、対象者が浮気相手の家を出るまで張り込みをするかなどの確認もしてくれます。

これはあくまでも浮気調査の一例ですが、このような流れがあるため、調査は1人でいい、調査時間は1時間でいいから安くしてほしいと探偵に言うのは、依頼人自ら調査が失敗してしまう可能性を上げてしまっているということも覚えておいた方がいいかもしれません。


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