東京都調査業協会

探偵コラム

第71回:《探偵》悪徳探偵がよく使う返金詐欺の言葉には騙されないこと

このコラムでも探偵には悪徳探偵とまっとうな探偵がいることは何度もお伝えしてきました。全体の比率でいえば、もちろんまっとうな探偵の方がはるかに多いのですが、一定数の悪徳探偵は後を絶ちません。

もし出会ってしまったら、当協会に連絡したり、警察に連絡をするのがいいのですが、被害に遭ってしまってからでは遅いことも多々あります。

今回は、これまでご紹介した悪徳探偵とはちょっと違うタイプの探偵を紹介します。

インターネットが普及し、企業だけではなく一般の方も普通にアクセスして常時見ることができるようになりました。

ですが、現在大人の年齢層の人たちのほとんどが、学校や講習などで「インターネットとはなんぞや」ということを、習ったわけではありません。

そのため、何をしたら、どういうことになるのか、ということがわからない人がほとんどです。

はじめは何か怖いと思ったり、難しいと思ったりしていたインターネットも、徐々に一般の人たちに受け入れられ、簡単に使えて便利なものという認識が高まっています。

けれど、インターネットに潜む詐欺集団の手口には、とんと疎い人がほとんどのため、被害が広がってしまっているという背景もあります。

例えば、よく耳にするのがアダルトサイトにアクセスしたことがきっかけで、変なメールが届くようになったというもの。

メールだけであれば、無視していればいいのですが、そこには「○月○日までに100万円支払ってください」と書かれており、読んでいる方は不安になります。さらに、悪徳業者は、追い打ちをかけるかのように電話をかけてくるという場合もありました。

他にも、「出会い系サイトにアクセス」「海外サイトにアクセス」というのもありますし、反対に先にメールが届いて、そこに書いてあるURLをクリックすることで、支払いに関する連絡が来ることもあります。

こうしたものを、ワンクリック詐欺やフィッシング詐欺といいます。こうしたオンライン詐欺は、今もなお増えている状態です。

それと探偵と何の関係があるのか? と思った方もいるかもしれませんね。
でも関係しているんです。

悪徳探偵は、こういった詐欺にあっている人たちから仕事を取ろうとしてきます。

例えば、こうした詐欺にあっている人たちに料金の請求をしてくるのをやめさせたり、被害に遭ったお金を取り戻してあげるなどという言葉を投げかけてくるのです。

これは一見、何も悪いことではないように感じます。だからこそ、被害に遭って困っていた人たちは依頼人となり、その探偵と契約を結ぶという流れに乗ってしまうのでしょう。

でも、どうしてこれが悪いことだと思いますか?

もしわかるのであれば、あなたはこの悪徳探偵に引っかかることはありません。
分からない方は、しっかりと目を通して覚えておいてください。

探偵業は万能ではありません。できることと、できないことがあります。探偵にできることは調査をして、証拠を掴むことです。でも、それだけです。

つまり、依頼人が詐欺グループに被害に遭っていた場合、探偵ができるのは詐欺グループがどこにいて、どんなことをして人を苦しめているかの証拠を掴むこと。

もちろん、証拠を掴むことは大事なことですが、探偵は最初に依頼人に何と囁いたでしょうか?

「請求するのをやめさせる」
「支払ったお金を取り戻してあげる」
という言葉です。

詐欺グループに対して被害金の返還請求をすることは、合法手段として探偵は持ち合わせてはいません。

なので、調査が終わった後で、「返還請求って、なんのこと?」と言う探偵も問題ですし、「返還請求をしてお金を取り戻してきましたよ」と言う探偵も問題です。
この場合は、後者の方がより危険な香りはしますね。

多くの場合は、前者の「返還請求って、なんのこと?」という探偵が多いのですが、依頼人は調査が終わった後で、「初めに言っていた話と違う!」と怒ったとしても、探偵と依頼人が交わした契約書には「○○企業の調査」としか書かれていないため、依頼人はその探偵を訴えることができません。

契約書内に、返還請求をしてお金を取り戻すということまで明記されていれば、依頼人の言い分が正しいため、探偵に抗議することができるのですが、悪徳探偵はその辺をきちんとぼやかして書いています。

ちなみに「返還請求」ができるのは、探偵ではなく弁護士です。詐欺グループの証拠が集まっているのであれば、弁護士がそのグループに対して返還請求を行い、お金を取り戻してくれます。

最近は、探偵事務所と契約をしている弁護士も増えてきているので、詐欺に遭った時に探偵側から、「うちなら証拠をお渡しした後に、腕のいい弁護士を紹介できますよ」と言ってくれるところもあります。

ただし、これも注意が必要なのですが、悪徳とつくのは探偵だけではなく、悪徳な弁護士もいるので、紹介してもらう時に本当に現在も弁護士資格を持っている人なのかの確認はしたほうがいいでしょう。

また、探偵から弁護士を紹介してもらうときに、紹介料をとる探偵がいたり、依頼人と契約をする時に、さも調査料と弁護料の両方が入っているような金額を請求しておいて、弁護士を紹介された時には、弁護士から改めて弁護料を請求されるというケースもあるので、注意が必要です。

ところで、ワンクリック詐欺やフィッシング詐欺に遭った時に、タイミングよく探偵から営業電話がかかって来たから依頼をしたというケースもよく聞きます。
しかもその探偵は、こういった詐欺でお悩みではありませんか? と、詐欺被害に遭っている人の心に刺さるような言葉を言ってくるそうです。

これはどうしてでしょうか?

実は、詐欺被害に遭った人たちのデーターや名簿というのは、悪質業者の中で回覧されています。そのため、詐欺に一度遭うと次から次へと、いろんなタイプの詐欺グループからの標的にされてしまうのです。

もし、この探偵は、私が被害に遭っていることを知って電話をかけてきたと感じたら、その時点でその探偵も悪質業者の1つだと思ってください。 そして、「この探偵、なんか怪しい」と感じたら、当協会に相談に来てください。探偵に関する苦情相談も受け付けております。

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