東京都調査業協会

探偵コラム

第82回:《探偵》成功率100%の探偵は存在しない!探偵の巧妙な話術に騙される依頼人

最近は減ってきましたが、「成功率100%」というキャッチコピーをHPに載せている探偵事務所が多くあった時代がありました。

場合によっては、依頼人と話をするときに、「うちは成功率100%の探偵事務所だよ」という探偵もいたものです。

探偵のことをあまりよく知らない人が依頼人になるケースが多い調査業界では、「成功率100%」という文字を見たり聞いたりすると、ここなら自分が抱えている問題も必ず解決してくれるんだるんだと思ってしまいがちです。人によっては、成功率100%=調査力がとても高い探偵事務所というふうに見えるかもしれません。

ですが、本当に調査力が高く、信頼できる探偵事務所であれば、「成功率100%」とはHPにも書きませんし、電話で話をするときや、実際に会った時に話しをするときにも、そんなことは一言も言わないでしょう。

なぜなら、依頼人に対して誠実であろうとするなら、「成功率100%の調査は不可能」ということを知っているからです。

どんなに綿密に計画を練ったとしても、調査員の数を増やしたとしても、調査を100%成功させることはほぼほぼできないでしょう。もし、「成功率100%というのが嘘だというけど、うちは本当にこれまで失敗したことがないんですよ」という探偵がいたとしたら、その探偵事務所ではまだ扱った案件が少ないということでしょう。

もしくは、本当に依頼人をだまそうとしている悪徳探偵と言われる存在です。

自他ともに認めるプロフェッショナルな探偵に必要なのは、二つです。一つは最先端の機材。もう一つは長年の実績。この二つがあって初めて、プロといえる探偵になれます。

伝統を受け継ぐ職人の世界では10年たって初めて、スタートラインに立ったという話を聞きます。探偵の世界も、それと同じです。ただ初めのうちは技術的には甘かったとしても、最先端の機材を使っているので、多少は実力をカバーできています。

それでも、探偵事務所を作ったばかりで、最先端の機材をすべて取りそろえられるかというと、もともと資産を持っている人や、開業するためにお金を貯めてきた人であれば可能ですが、たいていの探偵は最低限のものだけ用意して、事務所の運営資金が溜ってきてから、機材もそろえればいいかと考えている人も多くいます。

ただ機材に関しては、依頼人が探偵に正式な依頼をする前に、どれだけのものを持っているのかを聞くことで、その探偵事務所のある程度の機材の準備力というのはわかるかと思います。

話は戻りますが、探偵業界に10年以上も在籍し、実力をつけてきた本物の探偵たちに、これまで失敗したことは一度もなかったですか?と聞くと、全員が「調査を失敗したこともあるよ」といいます。

人間は機械でできているわけではないので、どうしても予測不可能な行動をとるものだからです。

失敗をする原因はいくつかあります。誰に問題があったかというと探偵がミスを犯す場合もありますし、対象者が何の前触れもなく突発的な行動(例えば車通りの少ない道を歩いていたら、仲間が突然車で現れてどこかに行ってしまったが、周りにはタクシーもなく、仲間の探偵も車で待機していなかったなど)をしたり、依頼人が探偵に依頼したことを対象者にバラしてしまったり、などケースバイケースです。

だからと言って、成功率が50%だという探偵は、誠実面で言えば合格かもしれませんが、普通の探偵はそこまで成功率が低くはありません。この探偵事務所で取り扱う案件が毎回難しいものばかりだったのか、探偵の腕が悪いのかのどちらかでしょう。ですがそれでも、成功率が100%という探偵よりはましです。

成功率で言うなら、一番いいのは70~80%の間ぐらいが腕のいい探偵で、素人だとわかっている依頼人に対しても誠実に接してくれる探偵といえるでしょう。

また、この「成功」の定義についても、ちゃんと説明をしてくれるのか、してくれないのかでも、この探偵に依頼をしていいのかについての判断材料の一つにするといいかもしれません。

このコラム内でも、何度か依頼人が思う「成功」と、探偵が言う「成功」には違いがあることは伝えてきました。

身元調査では、「成功」と思う結果に依頼人と探偵で差はないと思いますが、浮気調査や信用調査では差が生まれてしまうことがあります。

例えば浮気調査では、依頼人からすると対象者の浮気の証拠を掴んできてくれたら「成功」だと思っているのですが、探偵側からすると対象者が浮気をしていないという結果であったとしても「成功」扱いになります。

確かに探偵の腕が悪かったり、探偵が調査をした日に限って浮気をしていなかったりしているだけで、浮気の証拠を掴めていないだけかもしれません。ですが、依頼人が対象者は浮気をしていると思っていても、本当は浮気をしていない可能性だってあるのです。その場合、依頼側の立場としては微妙なところはあるのですが、そういう場合もあります。

もちろん、対象者が浮気をしていなかったという結論を探偵が持ってきた時に、探偵は尾行に失敗をしていなかったのか、ミスをしていなかったのか、ということが明確になっていることが条件です。

ですがこれも、探偵の言っていることを依頼人が信じられるのかどうか、に限ります。

依頼人は探偵に依頼をするとき、人によっては探偵が話をしているのを遮って、「なんでもいいから早く調査をして」という人もいます。普通の人が探偵に調査を依頼しようとするのは、普通の状態ではないことがほとんどです。平和な日常を過ごしていれば、探偵に調査を依頼してもらおうかな、なんて気軽に考える人はいないでしょう。

そのため探偵事務所に訪れる依頼人は、焦っている人や余裕のない人が多い傾向にあります。そんな精神状態で、目の前の探偵を信じられる人なのか、信じてはいけない人なのかを見分けなくてはいけないのですから大変です。

どんなに追い詰められた状態であったとしても、安くはない料金がかかるのですから、信じてもいいと思える探偵に出会うまでは、依頼を控えた方がいいでしょう。そのうえで、今回話をした「成功率100%」を謳っているような探偵にだけは近づかないことをお勧めします。

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