東京都調査業協会

探偵コラム

第116回:《相談》探偵社の相談員は相談を受け付けるプロ

探偵社の実情を知らない一般の人は、探偵事務所にいる人は相談者の相談に乗り、その後自分で調査をしているという風に思っている方がほとんどです。

確かに探偵社によっては1人で事務所を抱えている人もいるため、全てのことを1人で行っている人もいます。ですが、複数人所属している探偵社には、相談を専門にしている相談員と、調査を専門にしている調査員に分かれていることがほとんどです。

調査員は基本的には探偵社には顔をあまり出すことがありません。相談員から連絡を受けて調査をするだけなので、実際に相談員と顔を合わせることもないものです。

探偵のイメージでいうと、怖い、うさん臭い、などのマイナスイメージがつきものですが、それもやはりテレビや映画などの影響を受けているからでしょう。実際の探偵の中には、そういった人はほとんどいません。

さらに相談員となってくると、もっと割合は減ってきます。

相談員は相談者のお悩みを聞くプロです。ある意味ではカウンセラーのような立ち位置なので、どうすれば相談者が心を開いて話をしてくれるのかということを熟知しています。ですから、そんな人が「怖い」「うさん臭い」という一般の人が持つイメージを壊そうとしていることもわかりますよね?

怖い、うさん臭いと思う人に対して、人は心を開くものではないからです。

人が心を開くのは、やはり「安心できる人」「信用できる人」「優しそうな人」。そして話術を持っている人です。

依頼を受けるときに相談者がどこまで心を開いてくれるのかによっても、依頼の難易度が変わってきます。

全く信用できない人であっても、本当に困っている時には藁にも縋る思いで探偵と契約を結ぶ人はいますが、内情を事細かに話すことができるでしょうか?

調べてほしいけれど、あまり余計な検索はされたくない。必要最低限の情報だけを伝えよう、という気持ちになりませんか?

確かに必要最低限の情報だけでも、探偵のネットワークがあれば真実を暴くことはできます。ですが、初期段階での情報が足りていないだけに情報集めに時間がかかり、その結果、調査をする時間が長引くことに。そうなると、困るのは相談者も同じです。調査時間が長ければ長いほど、費用はかさむからです。

また相談者が必要最低限の情報だと思っていても、調査のプロからすると最低限にも満たしていないこともあります。相談者が調査のプロではないので、そういった判断ができないのも頷けますよね?

だから相談者には心を開いて、知っていることをすべて話してもらうのが、探偵にとっても相談者にとっても一番なのです。

とはいえ……と思ってしまうのが、相談者側ですよね。
やっぱり、初対面の人に対して何でもかんでも話をするのは抵抗があります。目の前にいる人を信用できなければ、余計にそう感じてしまうでしょう。

ただ、相談者側の気持ちも探偵側の気持ちも、両方とも理解しているのが相談員なのです。相談員は営業マンがするような笑顔ではなく、カウンセラーがするような笑顔で相談者に対して話をします。相談員はいかに相談者に心を開いてもらうのか、ということがどれだけ大事なことなのかを理解しているからです。

営業マンは商品を買わせようと思って笑顔を作りますが、カウンセラーは商品を買わせようと思って笑顔を作っていませんよね?

この微妙な違いで、相手に与える印象も変わってきます。

また相談員も探偵です。
何を一番大事にしているのかということは、調査員と変わりはありません。

探偵が何よりも大切にしていることは、相談者が不安に思っていることの真実を表に出すことです。証拠を集め、場合によっては法的な証拠として使えるように、意味のある報告書を作る。たとえその真実が相談者にとって悲しいものであっても、まずは現実を見てもらうことを第一優先にしています。

そのために、初期情報として相談者からどれだけの情報を引き出せるのかということは、相談員の腕にかかっているということです。

相談員には基本的に20代のような若い人はいません。人生経験をたっぷりと積んだ人が相談員になっていることがほとんどです。人に信頼をしてもらうには、人を観察する能力も必要ですし、相手がどう感じているのかにも機敏に察知する能力も必要だからです。

調査員は調査を重ねるごとに力を付けていきますが、相談員の場合は初めから能力のある人がなる職種でもあります。相談者と初めて顔を合わせるのが相談員ということもあり、失敗が許されない立場でもあるからです。

少し話がそれてしまいましたが、腕のある相談員は相談者の心の壁を取っ払うだけではなく、癒しも与えてくれます。それこそカウンセラーのように。

相談者は探偵事務所に依頼をするかどうかを決めるために訪れますが、相談員は相談者が依頼をしてもしなくても、ここに来てくれたということだけで少しでも相談者の心労を減らせるように努めています。

相談者は探偵事務所に訪れるまでは、誰にも相談できない強いストレスを抱えています。それが気兼ねなく話せる人がいれば、それだけでも気持ちは軽くなると思いませんか?

相談員はそのことを理解しているので、リラックスして相談者が話せる空間を作ってくれます。

また相談員は依頼前や契約後に話をするだけではなく、調査が終わった後の報告書を相談者に渡すというのも役割の一つです。調査報告書は、相談者が知りたい真実であり、知りたくなかった真実でもあります。報告書を見て安心をする相手に対しては、同じように同調するだけでいいのですが、ショックを受けてしまう相手に対しては同調するだけでは相談者の悲しみはぬぐい取れません。

ですが失望する真実があったとしても、知らないで生活をするよりは何倍もいいはずです。相談員はそういった相談者に対してのフォローもしてくれます。相談者の気持ちを前向きに変えてから、送り出すというようなことをしているので、相談者も探偵事務所に相談をしてよかったと思ってくれていることでしょう。

探偵へのイメージは悪いものが多いですが、実際には相談員が相談に乗ってくれるため、探偵事務所というよりはカウンセラーに相談に行くような気持ちで訪れてみてもいいかもしれませんよ。

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