東京都調査業協会

探偵コラム

第142回:《探偵》調査が失敗したら0円という言葉に惑わされない

探偵事務所を探していると、「失敗したら0円」「結果が出なかったら無料」というような言葉を書いているのが目につきます。数年前は、この書き方がトレンドだったこともあり、いくつもの探偵事務所で「0円」「無料」という記述をしていました。ですが、探偵事務所側と依頼者側で「失敗」「結果が出ない」という言葉に対しての認識の差があり、消費者センターに問い合わせる依頼者が多く出てしまったということもあります。

調査に失敗する、調査の結果が出ないという言葉を聞いたとき、依頼者側からするとどういった状況を思い浮かべるでしょうか?

例えば浮気調査の場合を考えてみましょう。依頼者が妻で、対象者が夫だとします。「夫が浮気をしているかもしれないので調査をお願いします」と伝えました。探偵は対象者が浮気をしていないかどうか調査をしましたが、浮気の証拠を見つけることはできませんでした。この場合は、どうでしょうか?

夫の浮気の証拠を見つけることができなかったので、調査が失敗したと思いますよね。ですが探偵は、調査費用を依頼者に請求してくるでしょう。ここに、言葉の問題があるのです。

夫の浮気の証拠を見つけられなかった探偵の能力が低かったと依頼者は思うかもしれませんが、探偵側からすると別の意見があります。それは「あなたの夫は浮気をしていなかったので、証拠を見つけることができなかった」と。

調査は失敗していませんが、元々浮気をしていない人間の調査をしたところで、浮気の証拠が出てくるわけないですよね?

だから、調査が失敗したわけでも、結果が出なかったわけでもなく、調査自体は成功しているので調査費用を請求するというのが、探偵側の言い分なのです。

では、探偵側が言っている「失敗」とはどういう状態のことを言うと思いますか?

もう一度、浮気調査を例にとって考えてみましょう。先ほどと同じく妻から夫の浮気調査をしてくれと頼まれた場合、探偵は対象者の尾行を行います。この時に、対象者に尾行がバレてしまったとしたら、これは対象者が浮気をしている浮気をしていない関係なく、完全に探偵側の落ち度ですよね。対象者に依頼者が探偵を雇って自分を調べているということがバレたら、依頼者は立場をなくしますし、その夫婦の関係は悪化してしまうかもしれません。

こういった状況になれば、探偵は「失敗」と認めるでしょう。そして、調査費用を0円にすると言っていたのであれば、本当に0円にします。ただし、調査費用は0円になっても、必要経費は請求してくる探偵事務所もあるので気をつけて下さい。調査費用と必要経費(尾行時の電車賃やタクシー代など)は別にして請求書を書いている場合は、そこまで大きな金額にはならないとしても請求される可能性はあります。

また「結果が出ない場合」とうたっている探偵事務所の場合も、何をもって結果が出ないとするのかということを事前に聞いておく必要があります。「対象者の調査をした結果、浮気をしていないことがわかりました」と言われてしまえば、それもまた結果が出たことになるからです。ただ「していない証拠」というのは厳密には、何もないということですので判断が難しいというのもあります。

探偵に「対象者は浮気をしていない」と言われて納得できず、何度も探偵に調査を依頼すれば、それだけ費用はかさんでいきます。もちろん0円になることはないので、ご自身の経済状況と相談する必要があると言えるでしょう。

つまり「失敗」よりも「結果が出なければ」という言葉の方が、より曖昧だということです。

ただ、そうは言っても、探偵業界のことをほとんど知らない一般の人が探偵に調査を依頼するのですから、そんな風には受け取ることができない。詐欺だ!というような声が消費者センターに届けられたこともあり、現在では「0円」や「無料」を謳っている探偵事務所が減ったというだけです。

それでもまだ、多少はそう言った文言を載せたままの探偵事務所も存在しています。
もちろん、「0円」や「無料」と謳っていても、何をもって「失敗」とみなすのか、何をもって「結果が出なかった」とするのかを依頼者にきちんと説明をしていれば、問題はありません。問題になっているのは、言葉のイメージが依頼者と探偵とで違いがあるということだからです。

また、「失敗」についてですが、先ほど挙げた探偵が対象者にバレてしまった場合についてです。こういったことは、全くゼロではありません。探偵の調査能力が低い場合もあれば、対象者の警戒心が非常に高い場合でも探偵の存在に気づかれてしまいます。ただ、探偵が対象者にバレたとしても、「失敗した場合は0円」という風に言っていない探偵事務所では、成功した場合と同じ費用を請求されることも忘れてはいけません。

依頼者は、もしかしたら探偵が対象者にバレるかもしれないということを念頭において調査を依頼することです。探偵が対象者にバレることは絶対にないと、対象者は思い込んでいますが、何事にも100%ということはないためです。

ですから、探偵が対象者にバレてしまうこともあるということを知っていれば、それは完全に探偵側の落ち度なのですから、その場合は費用を安くするとか費用を取らないというような契約に出来ないか、ということを依頼者側から提案するのも手です。

そうすれば、リスクがあるのは依頼者側だけではなくなり、探偵も慎重に調査をしてくれるでしょう。依頼者がそういった提案をして、嫌な顔をする探偵であれば、依頼をすること自体を辞めてしまってもいいでしょう。探偵事務所は探せばいくらでもありますし、失敗を恐れている探偵の腕も知れたものです。ベテランの探偵であれば、依頼者にそう言われても、嫌な顔をせずに了承してくれるでしょう。

「0円」や「無料」を謳っている探偵事務所は怪しいですが、依頼者側から条件を付けて提案をするのは、腕のいい探偵を見つけるのには役立つワードでもあります。上手に契約をして、納得のいく調査をしてもらいましょう。

適正価格で依頼者に寄りそった探偵事務所も存在しています。ベストな探偵事務所を見つけて下さいね。

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