東京都調査業協会

探偵コラム

第208回:《探偵》「〇〇工作」というメニューのある探偵事務所

〇〇工作と言われて思いつくのは、何でしょうか?

有名なのは別れさせ工作かもしれません。

最近はその名前を見ることが減りましたが、一時期「別れさせ屋」という看板を掲げている事務所がいくつかありました。それというのも、別れさせ屋がメインのドラマがあったからというのもあります。

ドラマで流れる前から、別れさせ工作を請け負っている事務所はありましたが、そこまで知名度の高いものではありませんでした。実際、AさんとBさんを別れさせますという言葉を見たとしても、普通の人は妖しく思って、実際に依頼をするということは中々ありません。本当に思い詰めている人が依頼をするぐらいだったものです。

ですが、ドラマで「別れさせ屋」というのがあり、しかもドラマですので「別れさせ屋」のしていることが正義という風に描かれています。

それを見ている人からすると、なるほど別れさせ屋を使うことは普通のことなんだと思う人もいれば、世の中にはそういう事務所もあるんだと思う人もいます。そして、実際に「別れさせ工作」と書かれているのを見て、だったら一度依頼をしてみようという気持ちになってしまうものです。つまり、依頼へのハードルが下がったということです。

そして、別れさせ屋への依頼が急増すると、別れさせ屋という看板を上げれば依頼が来ると思った人たちが新規参入で入ってくるようになり、一時期盛り上がりました。

ですが、別れさせ屋の事務所も、別れさせ屋にお願いをする依頼人も、中には度が過ぎる人たちがいます。AさんとBさんを別れさせてほしいという依頼が、いつしか邪魔者のBさんを殺してほしいという依頼に変わり、別れさせ屋が事故に見せかけて殺人を犯すということが実際にありました。

Aさんのことをストーカーばりに思っている依頼人であれば、Bさんと別れてくれれば、Bさんの生死はどうでもいいと考えていたというのも問題ですが、それを実行してしまった別れさせ屋の工作員も問題です。

工作員は、何をしても罪に問われないということはありません。自体が発覚し、警察が工作員を逮捕しました。もちろん、依頼人も殺人教唆で捕まっています。

これは行き過ぎた行為ですが、ではAさんとBさんが別れるために、様々な嫌がらせを行うことはいいのかというと、これも法に引っかかります。

またよく勘違いされることとして、別れさせ屋は探偵事務所とイコールだと思っている方も多くいます。ですが、探偵は犯罪に加担することはありません。そのため、別れさせ工作だけではなく、○○工作というメニューを依頼の種類の中に入れているところは、少なくても当協会に所属している探偵事務所にはありません。

「○○工作」というのは、別れさせ工作の他に、嫌がらせ工作や復讐代行のようなものもあります。

嫌がらせ工作と復讐代行は内容的にはほとんど同じです。気に入らない人や、恨みのある人に対して、その相手が嫌がることを行うというも。こうなってくると、完全に犯罪の請負会社と同じため、立件されれば、工作を行った本人も、工作を請け負った会社も、工作を依頼した人も、全員が犯罪者として捕まることになります。

人はなぜか自分が行うと犯罪になることを、他人に依頼して行わせると、それが犯罪ではなくなると思っている人がいます。人に害をなす行為は誰が行っても犯罪です。そして、それを依頼した側も犯罪者になるということを忘れてはいけません。

普通の探偵事務所であれば、何を行なえば犯罪になるのかを理解しているため、たとえ犯罪との境界線が見えなくなっている相談者が訪れても、正式にその依頼をお断りしています。

探偵事務所は犯罪を請け負うところではなく、調査を請け負うところです。テレビや映画、小説の中で探偵は、犯罪者の手伝いをしていたり、反対に警察を出し抜いて殺人事件の調査をしていたりしていますが、あれは物語の中だけのお話です。

探偵事務所が犯罪や犯罪まがいの行動を取らないというのは、探偵事務所を作る時には警察公安部に探偵の届出を出しているというところからも、わかるかと思います。

実際に別かれさせ工作を行っている探偵事務所があった場合、探偵の届出を出していなかったり、当協会のような探偵協会に所属していなかったりしています。

探偵に慣れている一般の人というのは少ないと思いますが、まともな探偵に相談をしたいと思うのであれば、探偵の届出を出しており、かつ探偵協会に所属している探偵を選ぶと、ちゃんとした調査をしてくれる探偵と巡り合えるでしょう。

探偵協会や警察も、悪質な探偵事務所を名乗る組織の排除を行っていますが、証拠を押さえて取り壊したとしても、また別の所から湧き出てくるため、なかなかそういう事務所をゼロにすることができません。そして、ゼロにできない理由の一つとして、やはりそういった事務所に依頼をしたいという人がいるというのもあります。

永遠にバレない犯罪はありません。犯罪を犯して一週間はばれなかったとしても、1年後はわかりませんし、バレていない間は普段と同じ生活を送るのは難しいでしょう。一度の犯罪で、人生の大部分を棒に振ってしまうことになります。

どんなに辛いことがあっても、どんなに恨む相手がいても、犯罪に手を染めることなく、真っ当な方法で問題を解決するようにしてください。○○工作と書かれていると、お金次第で解決できるんだと思ってしまうかもしれませんが、それは手を出してはいけない犯罪です。行き場のない問題を抱えているなら、まずは探偵に相談をしましょう。できれば、探偵の届出を出していて、探偵協会に所属している探偵がベストです。

相談をすることで、心が少しは落ち着きますし、場合によっては犯罪をしなくても、別の切り口での解決方法が見つかるかもしれません。探偵は調査のプロですので、調査対象が嫌がらせをしていたり、犯罪まがいのことをしているなら、その証拠を見つけることもできます。

「〇〇工作」というメニューのある探偵事務所には頼らず、真っ当な探偵に相談をして、真正面から悩みを一緒に解決していきましょう。

← <探偵コラム目次へ戻る>


東京都調査業協会 苦情相談窓口

〒101-0032 東京都千代田区
岩本町2-6-12 曙ビル402号
TEL:03-3861-2301(代)

電話0120-109-490メールフォーム