東京都調査業協会

探偵コラム

第311回:《探偵》探偵事務所と何でも屋を混同していませんか?

探偵事務所の数も年々増えていますが、実は何でも屋の数も増えています。そのため、何でも屋の看板を家の近所で見かけるようになった、という人も増えているのではないでしょうか。

探偵事務所は守秘義務が存在しているため、実際にはどういうことをしているのかがわからないと思っている人も多いでしょう。ただ、テレビドラマや小説の影響を受けた印象を持っている人が多く、現実世界では浮気調査ばかりやっているところ、というイメージを持っているかもしれません。

それに対して何でも屋はというと、名前からして何でも依頼をしたら受けてくれるところなのかなと思いながらも、その実態を掴めていない人が多くいます。何でも屋と同じ系統にあるのが便利屋ですね。便利屋も、その実態がよくわかっていない怪しい業種という風に見ている人が多いかもしれません。

ただ何でも屋も便利屋も、テレビドラマや小説の中で時折出てくる職種のため、架空の物語での印象を、現実世界に当てはめて考えている場合もあります。ですが、架空の物語の中での何でも屋や便利屋は、探偵役であったり、面倒ごとを起こして死んでしまう役であったり、犯人に依頼をされて協力をしている役であったり、そんな扱いが多いというのも特徴。そうなってくると、探偵と何でも屋、便利屋に違いはないように見えてきても仕方ないといえます。

ですが実際には、全く違う業種です。共通して請け負っている依頼も中にはありますが、基本的には目的が違うため、共通して受けている依頼があったとしても違う業態だと思った方がいいでしょう。

例えば、何でも屋や便利屋で引き受けている仕事は、ご年配の人の買い物代行や電球が切れた時にしてもらう、庭の雑草取り、屋根の整備、犬の散歩などがあります。ちょっとした人手が欲しい時に、依頼をする場所というイメージです。

ただ何でも屋や便利屋は幅広く仕事を請け負っていますが、そのそれぞれに特化した職業がある場合もあります。

例えば家政婦や買い物代行専門業者、ケアマネ、料理を作ったりする家事代行業者、お掃除代行業者なども存在します。ただそういった所は専門職にしているため、単発での依頼ができなかったり、費用感が若干高かったりすることもあります。

専門業者のため個々人のスキルは高いものの価格は高くなる傾向は仕方ありません。それに対して何でも屋や便利屋は、個々人のスキルが低いとは言いませんが、専門的に一つのことをしているわけではなく、幅広く対応をしているため、個別の能力を見ると、それなりとも言えます。ですが、幅広く対応していることもあり、専門業者に比べると費用を抑えることができるというメリットはあります。

また、何でも屋や便利屋は、地域密着型になっているところが多いため、専門業者に比べると距離感が近く、それを求めている人もいるので、そういった人にも受けが良いといえるでしょう。

そういった何でも屋や便利屋ですが、稀に本来であれば探偵が引き受ける依頼を、請け負っている業者も存在しています。ペットがいなくなったので探してほしい、という相談であれば、何でも屋や便利屋でも問題はありません。ですが、それこそ浮気調査をしてほしいと言われた時に、探偵事務所よりも格安で引き受けてしまう業者もあります。

これは問題です。

何でも屋や便利屋は日常の雑多なことを引き受ける業者で、専門知識はそれほどいらないものの範囲の依頼を請け負うのが正しいのですが、浮気調査は専門知識が必要なため素人が浮気調査をしているのと変わりません。

探偵は調査業です。つまり調査のプロですので、調査をして、その結果を依頼人に報告書としてお渡しする。そして報告書は、裁判になった時にも有効な証拠として使えるものというのが原則です。

しかし何でも屋や便利屋が、仮に浮気調査をして、相手が浮気をしていることを突き止めたとしても、浮気の証拠として十分なものを出せるのかというと、疑わしいところがあります。

それよりも厄介なのは、浮気調査の途中でバレてしまったり、不十分な浮気の証拠を依頼人に渡して、その証拠をもとに依頼人が浮気を問い詰めたものの、「そんなのは信ぴょう性がない」と一蹴されて、浮気を疑っていたことが相手にバレてしまったりすることです。

対象者に浮気をしていると疑われていることがわかれば、対象者は証拠を残さないように注意深くなってしまうため、その後に確証を探すのが難しくなってしまいます。また、対象者が逆ギレをして、依頼人を非難する可能性もあります。その場合に、何でも屋や便利屋が責任を取ってくれるのかというと、責任は取ってくれません。

では改めて、探偵と何でも屋や便利屋と何が違うのかというと、探偵は調査のプロであり、調査の専門知識を持っているのに対して、何でも屋や便利屋は専門知識ではなく一般の人の視線に立って行動をする一般の人よりも、ちょっと知っていることが多い、街の頼りになる人という風に分けて考えると、どういう悩みには誰に相談をすればいいのかが分かるかもしれません。

また、探偵が調査を行っているのは、探偵業法に則っているため、それが何なのかも知らない人が調査をすることは極めて危険です。どこからが犯罪で、どこからが犯罪ではないのかということも理解していない人が探偵のまねごとをすると、うっかり犯罪に手を染めてしまう可能性もあるからです。

そして、依頼をした人が法に触れる行為を取ってしまうと、それを依頼した側も同じ犯罪者になってしまいます。こっちはお金を払って依頼しただけで、自分は法に触れることはしていないから関係ない、では済まされないということは覚えておいた方がいいでしょう。

困りごとができて誰かに相談をしたいと思った時、自分の悩みは誰が合法的に解決してくれるのかは、依頼をする前に調べたほうが安全です。もちろん、依頼料にも限りがあるとは思うので、自分が出せる範囲で考えることも必要ですが、まずは専門業者に相談をしてみて価格が高いとなった時に、他にはどういうところに相談できるのかという風に考えてみるのも一つの手ではないでしょうか。

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