東京都調査業協会

探偵コラム

第41回:《探偵》困った探偵社に出会った時に苦情を入れる場所

「ちょっと、こんな探偵がいたんだけど、どういうことよ! 探偵ってみんなこんな感じなの!?」

というような苦情を、東京都調査業協会に入れてくる人は後を絶ちません。世の中には残念なことに、まだまだ「悪徳探偵」といわれる探偵業社がたくさんいるためです。

そのせいで、健全な探偵たちの評判まで落ちてしまうのですから、こちらとしても早くなくなってほしいと願ってるのですが、なかなかそうもいかず……。

ところで、みなさんは、苦情に繋がりやすい「悪徳探偵」の特徴ってわかりますか?

そもそも探偵社は、一部の人以外にとって、そんなに頻繁に依頼をしに行くところではありません。だからこそ、どういうものが正しくて、どういうものが間違っているのかという知識も、依頼人に少ないのが特徴でもあります。

さらに、ドラマや映画、漫画、小説などの創作の世界で描かれる、現実とは違った「探偵象」を信じている人も多くいるため、「探偵」とはどういうものなのか、ということもあやふやなのが実情。

あやふやな知識のまま、探偵ってこういうものなんじゃないのと思い込むのは危険です。

大抵の方は、探偵に依頼をする場合、緊張をしています。電車の駅員さんに「〇〇駅までどうやって行けばいいですか?」と聞くのとは、全然違いますよね。

電車の駅員さんは、いつも改札口や駅のホームにいますが、探偵は注意していないとわからないような看板を掲げて、人が入りにくそうな門構えをしている事務所がほとんど。「こんなところに私が入っていっていいのか」と思って逃げ出したいけど、でも知りたい真実があるから足を踏み入れるという場合が多いです。

そうやって勇気を振り絞って、探偵社に来てくれているのに、その探偵が悪徳だったなんて、より一層探偵業界へのイメージが悪くなりますよね。

それではこの辺で、悪徳探偵の大きな特徴を二つ挙げましょう。

一つ目は、調査料金のあいまいさ。つまりぼったくりに遭いやすい例ですね。依頼人がお願いした時に軽く説明をするだけして、調査終了後に法外な金額を請求する探偵もいます。「調査員をこれだけの人数、これだけの時間使ったので、100万円になります」なんて言われたら、疑いの目を向けてください。

正当な探偵であれば、調査員を何人つけるとどれだけの金額になって、何日間調査を続けるとどれだけの金額になるという説明をしたり、この案件だと一般的にはこれだけの金額になると説明したり、調査中であっても、これ以上の調査をするとどれだけの金額が増えてしまうなどを事前に教えてくれたりします。

どれだけ金額が上がるかがわかっていれば、依頼人もこれ以上はやめておこうと思ったり、多額のお金を支払ってでも突き止めてほしいと思ったりするので、ぼったくりにも合いづらいといえます。というより、依頼人の自己責任になると言ったほうがいいかもしれませんね。

ただ探偵の中には、これ以上の調査は無駄だと思い、法外な金額を言えば依頼人も諦めるだろうと思って伝える場合もあります。それでも乗っかかってくる依頼人であれば、探偵にも非はありますが、依頼人にも非がある状態なので、苦情に繋がることは少ないですし、探偵に対して「悪徳探偵」だとも言えません。

二つ目は、真実を見つけられない上に、報告資料が薄い探偵社。たまにですが、ごく薄い報告資料を渡して、
「旦那さんの浮気は見つけることができませんでした。浮気なんてしていないんじゃないですか?」
と言ってくる探偵もいます。

これ本当に調査したの? と、疑いたくなりますよね。そして、他の探偵社に頼んでみたら、最初の探偵社よりも安くて、しかも分厚い報告資料をもらい、浮気の証拠もあげているとなれば、最初の探偵社への苦情を申し立てても仕方のないことです。

また、浮気調査をして、「浮気現場を見つけました!」と言って渡された資料に添付している写真が、愛人と手を繋いで街を歩いているだけの写真だけだったらどうでしょう?

確かに知らない人と手をつないで歩いているので、デートをしているようにも見えますが、これでは裁判の時の証拠には使えませんし、相手を問い詰める材料としても弱いと言えます。

それなのに、探偵が薄っぺらな報告書だけで、料金を請求してくるということもあります。
でも、探偵に依頼をしたことのない依頼人は、「こんなものなのか、探偵ってお金だけとって大したことないんだな」と思って苦情を入れるということすらしないということも。ですが、本当の浮気調査の証拠というのはそういうものではありません。

相手が愛人とホテルに入っていく決定的なシーンをビデオで撮ったり、路上でキスをしているシーンをビデオで撮ったりして、それを画像として依頼人に渡すのが、正しい浮気調査の報告資料のあり方です。ここまで決定的なものを手に入れておけば、依頼人がその証拠を手にして相手を問い詰めたり、裁判沙汰になった時に有利に物事を進めることができます。

ただ私は、苦情を入れてくる元依頼人たちは、まだいい方だと思っています。元依頼人の中には、悪徳探偵に騙されたまま泣き寝入りをする人も……。理由は様々ですが、騙されていることに気付いていない人、騙されていることに気付いているものの、依頼した内容が内容なだけに表沙汰にしたくなくて、そのままにしている人。あとは、東京都調査業協会のように、探偵社を集めた団体があって、苦情を受け付けている団体がいることを知らない人。

東京都調査業協会は苦情が一件でも入ると、脱退をしなければいけないというルールのもとに集まっている探偵社ばかりなので、どの探偵社に依頼しても「悪徳」とは無縁です。

なので探偵に依頼をするときには、初めから東京都調査業協会に属している探偵に依頼してほしいという気持ちはありますが、住んでいる場所から所属している探偵社では遠すぎるという人は、何か探偵でトラブルがあった時には相談に乗ってくれるところがあるということだけ覚えておいてください。

苦情は出ないほうがいいのですが、もし何か探偵社でのトラブルが出た時には苦情を出すことのできる場所があるというのは心強いものです。

悪徳探偵社は、探偵業界でも一部にすぎません。みなさんが安心して探偵に依頼できる日が来るように努力していきます。


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